決戦 しっとり、うっとり、お嬢様フェイス。
夫との話し合いを重ねても
上っ面をなぞるだけで何も変化はなかった。
こんなにも裏切られているのに
まだ、夫の心の変化を待っている。
反面、諦めの気持ちは現実的で決戦の準備をしている。
水面下のPCメールをぶつける準備を始めた。
写真に収めた、2人のメールは100枚以上。
それをコンビニに足しげく通い、コピーする。
字が小さくて(老眼)、どこまでコピーできたかわからなくなって
同じ物をいくつもコピーしたり、思ったより手間がかかって
時間もお金もかなり使った。
こんな写真を見せられたら・・・・
夫は逆上して冷静ではいられないだろう。
自分のプライバシーであるPCのメールまで侵入したという
事実は夫を酷く怒らせるに違いない。
間違いなく離婚と言われるだろう。
それでも仕方がないと思った。
私ができることは、今、このカードを切ること。
それだけではなく、同時に離婚届を突きつけること。
離婚を望んではいないが
私が覚悟を見せなければば足元を見られる。
そこで離婚となれば、結局はそれが夫婦の運命なんだろう。
悲壮感が漂っていたのだろうか?
役所に離婚届を貰いに行くと、女性職員の顔が
やたら神妙で不憫な様子を見せた。
やさしい人だなと思った。
週末には、夜の家事を済ませると
約束した通り、夫の泊まるホテルに入った。
仕事を終えた夫と合流し、居酒屋とカラオケに行く。
夫は私に気を使いながらも嬉しそうだった。
こんな風に毎週、女と楽しく週末を過ごしていたんだな。
家の心配もせず、時間を気にせず、しこたま飲んで
ホテルのベッドで最後のお楽しみ・・・・。
夫が予約した部屋はダブルベッドだった。
私は昔から同じ布団で寝るのが好きじゃない。
だから夫と旅行へ行った時、部屋のベッドはいつもシングル。
夫はダブルベッドで一緒に寝るのが好きだったんだと知った。
イチャイチャしたい人だったんだ。
長く夫婦をやっていたのに
私は置いてきぼりにされたような気がして寂しくなった。
私は夫のことを知らな過ぎたのかもしれない。
離婚に向かっているのか?再生なのか?
舵をとれない日々は
心細く繊細に大きく揺れ動く。
私達夫婦はいつからすれ違ってきたんだろう。
翌朝、夫はホテルから仕事に出る。
私は疲れた身体を引きずって自宅に戻る。
ドキドキしながら夫のメールを開く。
残っていたメールはホテルに泊まる前のもの。
私は、また絶望する・・・・・
それでも
ジワジワと立ち上る怒りが私の背中を押してくれた。