すぐに使える決戦テクニック4選
皆さん、おはようございます?
自由が丘こども図書館館長ありさです。
15日までは戦争と向き合おうと、当時、子どもだった人々の声を集めるのは、エネルギーがいりますね。
感想を書いたり、まとめるのもなかなか時間がかかります。
田辺聖子 著
ポプラ社 1997/4
あらすじ
昭和16年(1941年)。当時13歳の女学生だった私は、天皇陛下と祖国のために、命を捨てるのだと、固く決心している。
私はいつかジャンヌ・ダルクのような戦乙女になるのだと憧れを抱いていた。
日本軍の華々しい戦果が大々的に新聞に載る中で、私は読書に明け暮れ、小説を書いたり、友人達と雑誌を作ったりする平穏な日々を送っていた。
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★私自身の心を見つめよう★
小説家田辺聖子さんが、戦中の少女時代を振り返り綴った自伝。
田辺さんが純粋な軍国少女すぎて、「戦争は絶対いやだなぁ」と考えている私にとっては、田辺さんの意見が受け入れがたい場面もあった。
もしも当時、私が田辺さんと同級生だったら、「あなたは非国民ね!軟弱者ね!」と叱咤されていただろう。
当時はみんなこんな感じなのかしら?と思いきや、田辺さんを取り巻く人の中には、
「早く講和でもしてくれ、商売あがったりだ」
「前みたいにおいしいもの食べて、もんぺじゃない服着たいね」
「鬼畜米英、大和魂、大和撫子というのに、なんで兵隊は洋装をしてるのだ」
という意見をもっている。
大きな世間の声にかき消されているだけで、自由も楽しみもなにもかもお国にとられて、あきれたり、うんざりしている人はいるのだと安心する。
館長がすごく好きなのは、女学校の友成先生が聖子ちゃんと同じく超軍国少女の竹本さんを冷静に諌めるところ
ある日、竹本さんが女学校のみんなは、兵隊さんは頑張って戦っているのに、私達は安穏と「源氏」や「枕(草子)」を勉強しているなんて恥だ。今すぐ役に立つ軍需工場で働いたほうがいいと呼び掛けます。
それを聞いていた友成先生が
「憂国の至情というより、私情のほうではないかね。新聞やらラジオのせいでよくのぼせるのもいるが、みなさんはかりにもインテリのはしくれ、物事というものはよく考えてから本質を見通す訓練をしなければいかん。人に煽られたり、世間におだてられたりしては知識階級とはいえない。いつか戦争は終わる。みなさんの学問がまた役に立つ時代もくる。学問は戦争にも滅びない」
友成先生は、国民服ではなく背広をぴしっと着てくる先生でした。戦争に踊らされてはいけないとまっすぐに主張する先生はすごくかっこいい大人です。
しかし、聖子ちゃんは「なにいってんの?この人?」と、当時は先生が竹本さんに反論する意味がわからなかったようです。
この軍国少女聖子ちゃんは固くなに、「日本国民、老いも若きも玉砕することは素晴らしい!」「勉強するくらいなら御国のために働こう」「日本国万歳!」という考えを変えない。
演劇や創作小説でなら、心動かされて「戦争はいやだな」と思ってしまう状況にあったとしても、「大日本帝国は負けるわけはない!」という考えを信じてる。
大好きな中原淳一の絵が軟弱だと少女雑誌から排除されても
軍需工場で、週一しか家に帰れず、空襲でようやく帰れるようになって、帰り道で死体の山を見ても、書きためた小説や集めた本が燃やされ、親戚が傷ついても
そこまでいけば、もう嫌だとなるのに、聖子ちゃんは変わらない。むしろ、これで本土決戦になるのだとわくわくしている。
「どうせ死んでしまうのだから、死ぬのなど怖くない。日本総員玉砕して、美しくちっていくのだ」
これを心から信じて行動してしまうと、集団自決とかに行きつくのだろうな……
戦争が終わってから、聖子ちゃんの葛藤がはじまりました。今まで正しいと教わってきたことが、たった一日(8/15)をもって全部違うと言われる。
何日か前には言えば不敬だと言われていたことを大人は嬉々としてしゃべっている。
国が正しいとんでいった人々、飢えていった人々の心はどうなる。行き場がない。無駄ということではないか。
悶々とした日々を過ごすうちに、聖子ちゃんはあることに気がつきました。
本当に自分は天皇陛下に命を捧げることを幸福だと思っていたのだろうか?
胃潰瘍で吐血している父、政府に言われて梁をむき出しにした天井を見るうちに、ふわふわとしていた心がすとんと落ちてきた。戦火をくぐりぬけて
「自分のあたまで考えて判断するのが一ばん大事やないかしらん」
と考えるようになった。
青春の終わりと少女の自立、這い上がっていく強さを得るまでの過程に震える。
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決戦の魅力って
本当に、猫たちが東京に帰って来るんですねえ