クリップ 世界の中へ、暮らしの中へ、いい商品世界から

ここんところ、

当時、真面目で純情な優等生だった私が

ヤンキーのお兄さん宅にホームステイした話を

しています。

その１

その２

その3

その4

しばらくお世話になった

北海道のヤンキーのお兄ちゃんのお家。

私もお兄ちゃんたちも

お互いに少しずつ慣れて来て、

その家での色んな「当たり前」ができてたのね。

その中の一つが、

ご飯を食べた後、

お兄ちゃんの部屋で、

私と同じ年ヤンキーの居候君と、

ヤンキーお姉ちゃん

（お母さんの彼氏の娘）と、

４人で話す時間を持つこと。

外に遊びに連れてってもらわない日は、

ダラダラとその部屋で

おしゃべりしてたんだよね。

(と言っても、私はシャイだったので

全然口数は少なかったんだけど　笑)

そしてある時、お姉ちゃんが

友達の家に泊まってくるって言って

お兄ちゃんの家に帰ってこない日が

あったんだよね。

私も、普段、男性ばかりの部屋に

夜に無防備に入るよーな性格ではない。

お昼でも彼氏の部屋じゃなかったら

遠慮するかな。

（当時、まだ彼氏いない歴１６年だけどね　笑）

だから、迷ったんだよね

お兄ちゃんの部屋に行くこと。

でも、毎日必ず行く習慣になってるのに、

お姉ちゃんがいないからって

行かないのって、あからさまに疑ってたり

警戒してる感じになっちゃうよね。

こんなことを悩むのも

優しく接してもらってるのに

自意識過剰みたいでイヤな気もするし。

なんて、ちょっと考えた末、

いつも通り、行くことにした。

部屋に入ると、

お兄ちゃんはベットでゴロゴロして

何か雑誌を読んでた。

そして、なんと

居候君はビデオを見てた。

えっちなやつ。

おおっと！！

これは入っちゃいけない感じだよね。。。

私がどうしようかと固まってると、

お兄ちゃんが気づいてくれて、

慌ててビデオを止めて、

「入っておいで」って言った。

いつもと雰囲気が違うので

びっくりしたけど、

もしかしたら、お姉ちゃんがいないから

私だけでは来ないと思ったのかな。

きっと、私がいない普段は

こういう日常なんだと思う。

そんな感じがした。

私は兄が二人いるんだけど、

兄（８つ上）の部屋は

床にビデオが散乱して、本も大量に

広げた状態で置いてあったし、

兄の二段ベッドの下で

寝てた時は、そんな本を踏みながら

自分の寝床に入ってたし、

男性がそういうのを見るのは

他の人より免疫があったと思う。

（全然喜ばしくないことだけど＾＾；）

だから、別に不潔とか思わなかった。

なので、ま、いっかと

普通にいつも通り、

お兄ちゃんの部屋に

入ることにした。

すると、いつもより居候君の距離が

近いような気がして。

そして、会話が途切れた時、

居候君、

こう言ってきた。

「ねぇ、ちもちゃん、

セッ.クスってしたことある？」

ひぇ??！！なんて質問をしてくるのよ、

あるわけないじゃん。。。

付き合ったこともないんだから。。。

でも、シャイな私はそんな事も言えず

この変な雰囲気に

どう返していいかわからず、

ただ困った顔をして、首を振った。

「じゃあ、やっぱり知ることから

始めないとね。色々教えてあげる。」

そう言って、またビデオを付けた。

この妙な雰囲気は

なんか、ヤバいんじゃない。。。

ちょっと身の危険を感じつつ、

私がどうしたらいいかわからず

焦っていると、

お兄ちゃんが静かな声で

「やめとけって。」

また居候君からリモコンを取って、

ビデオを切った。

「いいでしょ」

そう言って、リモコンを奪い返す

居候君。

何回かそのやりとりがあった後、

「お前！いい加減にしろ！！

ちもちゃんの前でそんなの見んな！！」

ってお兄ちゃんが声を荒げて怒った。

一緒に過ごすようになってから

ここまで声をあげてるお兄ちゃんを

初めて見たので、びっくりした。

そして、居候君は

お兄ちゃんの言うことに従った。

私はホッと胸をなでおろした。

その後、お兄ちゃんと居候君の

ちょっとギクシャクした雰囲気に

いたたまれなくなったけど、

少ししたら、いつも通りの会話に戻った。

しばらくして、

お姉ちゃんも戻ってきて、

また４人で過ごすようになった。

この頃から

居候君にスイッチが入っちゃったみたいで、

やたら私との距離が近くなる。

一緒に歩いていても、

手を繋ぐだけじゃなく

ちょくちょく肩や腰を引き寄せてくる。

でも、それは嫌なわけじゃなかった。

私も、居候君のことが気になってたから。

数日間、濃い毎日を過ごして、

色んなことにドキドキしまくりだったから

彼のことが好きなドキドキと脳が勘違い

したのかもしれない。

怖い雰囲気だけど、実はお茶目で

優しい彼のギャップに

惹かれたのかもしれない。

それとも、私の知らない世界を知ってる、

危険な魅力にヤラれたのかもしれない。

彼に触れられたら嬉しいと思う自分と、

こういうの怖いな、

ダメなのにな、

と思う自分がいて、

ちょっと混乱していた。

そして、

４人で外からお兄ちゃんの家に

戻ってきた時、

居候君はまた私の手を引いていたんだけど、

お兄ちゃんとお姉ちゃんが部屋に入っていくのを

後ろからこっそり見送ると、

手を引っ張って、私をお風呂場に

連れて行った。

私を浴槽のへりに座らせて、

「ねぇ、キスしたことある？」

って聞いてきた。

その瞬間思い浮かんだのが、

１５歳の時、塾の先生に

無理やりキスされたこと。

でも、私、それがファーストキスだとは

認めたくなくて、

下を向いて首を振った。

「キスしよう」

そうやって、伏し目がちに

顔を近づけてくる居候君。

怖くなった。

私は、

どうしたらいいかわからずに

彼の顔が入り込めないほど

下を向いた。

私が拒んだのが伝わったのか、

居候君が切なく寂しそうな顔をした。

そしたら、廊下からバタバタ

足音が聞こえて来た。

お兄ちゃんが

心配して私を探しにきてくれた。

「もう！ダメ！」って

居候君を追い払って、

私の背中を押して

部屋に戻してくれた。

それからも、何回か、

気がついたら居候君に

引っ張られて部屋の隅に追い詰められたり、

お風呂場に連れて行かれそうに

なったけれど、

その度にお兄ちゃんが助けに来てくれた。

気にして守ってくれてたんだね。

お兄ちゃんの優しさが嬉しかった。

そして、居候君も強引なところはあったけど、

きっと、彼が無理に実行しようと思ったら

できるタイミングは沢山あったと思うから、

強引に迫りつつ

最後は私の意思を尊重してくれてたんだと

思うんだ。

そして、

そうこうしてるうちに、

私が京都に帰る日が

近づいてきた。

「あーあ。ちもちゃん、帰っちゃうの寂しいな。」

「もう、ずっとここに住んだらいいのに。」

「今度いつくる？」

「絶対すぐ来るって約束してよ。」

「でも、俺らのことなんかどーせ忘れちゃうんでしょ。」

「ねぇ手紙書いてよ。」

「絶対書いてくれる？」

みんなそんなことを言ってくれた。

優しさが嬉しかった。

居候君は、

「もう、ちもちゃんが帰れないように

どこかに隠してしまいたい。」

なんて何度も言ってくれた。

私の前で切ない目をしてそう話して

くれる姿にキュンとした。

そして、沈黙の後、

「ねぇ、俺の女になってよ」

って。

本気？

冗談？

よくわからなかった。

でも、

高校生の私にとって、北海道が

すごく遠いこともわかってる。

きっと私が望んでも、そう簡単に来れないことも。

ネットも携帯も浸透してない、

連絡するのも大変な時代。

だから、内心はすごく嬉しかったけど、

「またそんな冗談言って。」って笑って返した。

向こうもきっともう会えないと

思ってるんだろうな。

それ以上、強くは言ってこない。

彼は遊んでるし、沢山女の子とも

交流があるんだろうし、

きっと本気で遠距離恋愛しようなんて

思わないよね。

子供には、

どうにもできないことがある。

私も今はときめいても、

しんどい恋愛してる場合じゃない。

また、京都に戻ったら、

優等生として頑張らないといけない。

それが私。

その頃の私は、小さい頃の落ちこぼれで

不器用な自分が大嫌いで、違う人になるために

一生懸命、生きていたから。

そして、父に先立たれ、

問題児の兄を持つ母がかわいそうで、

母の希望になることが

自分の使命だと思ってたから。

だから、彼らとの生活は

楽しかったし、

居候君にはときめいちゃったけど、

忘れるしかないんだなって思った。

そうやって、自分に言い聞かせて、

お別れをした。

京都に戻った私は、

胸に芽生えた恋の炎を

鎮火するするために日々を過ごした。

だから、手紙も書かなかった。

絶対書くって言って！って

約束させられたけど。

でも、一年くらいは、テレビのニュースで

バイクの事故があると、気になって

ちょっと名前を確認したかな。

彼は無茶なバイクの運転してたから。

そして、

私の作戦は大成功し、

すっかり彼らのことを思い出さなくなった。

何十年経った今まで。

あの時の嬉しかった気持ちや、

ときめきの気持ちもすっかり忘れていた。

実は私、今回、北海道に行ったことで

この記事を書き始めたけど、

正直、書き始めたときは

あの時のことを

母の元彼のDVおやじと旅行したなぁって

くらいのイメージで思い出してたんだよね。

母の元彼のほぼヤクザなおじさんは

もう他界してるんだけど、

この旅行の後しばらくして、

DVするようになった頃から

世界一嫌いな人なっちゃったから、

あの時の旅行も私の中では

嫌な思い出の一部にしちゃってたんだよね。

そして、あまり思い出さないように

してたんだと思う。

でも、久々の北海道に上陸して、

あの時はおじさんなりに

私と仲良くなろうと

名所に連れて行ってくれたり、

努力してくれてたんだなぁってのも

ちょっと感じたんだよね。

だから、記憶の蓋を開けて、

そのことを書こうと思ってたの。

でも、書き出したら、

あの時感じてたときめきや

温かい気持ちが鮮明に出てきて

驚いた。

私、「高校の時、少女漫画みたいな

こと何もなかったわ?。残念。。。」

なんて、友達に話してたのに、

今回、この話が少女漫画みたい♪

なんて何人かに言ってもらって

びっくりした。

忘れようとしたこと

思い出さないようにしたこと

そんな所に意外な感情が

隠れてるのかもしれないね。

そして、どんなイメージで

記憶の引き出しにしまうかは

自分で決めてるんだなぁって

改めて認識した。笑

そして、当時の私、

色々危なっかしかったけど＾＾；

やっぱり何かに守られてるんだなぁって

改めて思った。

で、私の人生なんやかんやあっても

「私は大事にされる人です」って

思考はずっと持っていて、

私の目の前の現実は、

やっぱり私にはそういう風に

見えるんだなぁってところも

再確認した。笑

私と出会ってくれた彼らに

感謝の気持ちでいっぱいです。

ありがとう。

これで私の高校の時の

北海道の話はおしまい。

長らくお付き合い

ありがとうございました＾＾

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